NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

香りに賭けた3人の男

井上 勝仁・ネッド・グッドウィン・清水 誠

冷静、実力、実行、その男・井上 勝仁

井上は、物静かでジェトルマンだ。

しかし、彼の力強い言葉からはワインに対する熱い想いが感じられる。

東京全日空ホテル(現ANAインターコンチネンタルホテル東京)のソムリエとして頭角を現していた井上は、隔年開かれたソムリエコンクールでは、常に上位入賞を果たしていた。


1998年(記憶では)全日空商事から全日空(現在ANA)の機内ワインセレクションに参加していただけないだろうか、という打診があったと言う。

勿論、井上は全日空に所属しているし、勉強にもなるため喜んで引き受けた。

それが現在のワインセレクション参加の原点となっている。

 

ソムリエという職業は、と問うと、井上は「貴方はどう思われますか」逆に問われた。

そして、続けて「ソムリエはコックさんではないし、シェフでもない。基本はウエイターと同じです。」

たしかに。しかし、世の人たちはそうは思ってはいない。

一般の人たちがソムリエ、という言葉から受ける印象は、「特別な人」だと言っても過言ではないだろう。

並外れたワイン料理の知識を持ち、それに加えてスペシャルな人、そんな職業だと感じている。

しかし、井上はあくまで“黒子”だと話す。

謙虚なのか、自信家なのか、それが彼の個性なのか、わからない。

しかしワインが好きということは間違いない。だから毎日の勉強は欠かさない。

井上の返答は一瞬横柄に聞こえるが、多分、酒(ワイン)のことならだれにも負けないという自信の表れが言葉に出ているのだろう。

いつもは、物静かで、穏やかな人なのだと思う。

「ソムリエの本質はその店舗のワインリストを見ればわかります。」

砕いていえば、ソムリエの実力はワインリスト自体にあるということなのだ。

 

つまらない質問をしてみた。

自分オリジナルのワインメニューを作りたいですかの問いに、即座に「NO」が返ってきた。

「僕は、レストランやバーなど其々の個性に合ったワインメニュー作りができるように、考えています。こちらからのプロダクトアウト的なものではなく、マーケットインの思考を取り入れて作成することを心がけています。地味だがそれがソムリエの仕事です。」と断言する。

まさに、“黒子”に徹した言葉だ。

 

「僕は現在51歳です。20代30代のころは、ワインにどっぷり浸かった毎日でしたから、遊びもワイン絡み。それがすごく楽しかったように思いました。」

若いころの思い出を懐かしそうに話す井上は、キャリアを積み、年を重ね、機内ワインセレクションに参加する喜びを、今すごく確かに感じているようにも見える。

「自分のワイン集大成、その舞台がこのワインセレクションにあるように思えます。」

常に前を向き、ゲストたちに美味しく、喜んでもらえるワインを選ぶセレクションを楽しんでいるようだ。

                  Master of Wine

               ワインの鬼才 ネッド・グッドウィン

日本在住では唯一の、マスターオブワインの資格を持つ、ネッド・グッドウィンは、イギリス生まれだ。

オーストラリアで育ち、学生時代には日本で交換留学生として一年過ごした。

その後、ワインソムリエとして数々の場所で経験を積んだ。

(そのくだりは、いずれ、聞いてみて、書いてみたい)

現在、さまざまな肩書を持っている。

本人は気にしてはいないが、ワインディレクターが一番好きだと話す。

 

ワインセレクションが行われている会場で質問をぶつけた。

流暢な日本語がバンバン飛び出す。

「どんどん聞いてください。何を知りたいですか。」

頭の回転がとても早い。ある意味でクレージーだ。

ハリウッドスターのようなオーラを持つ、二枚目だ。

専門用語、ワインを知る人にしか馴染みのない地名、ラベルに書いてあるワイン名。恐ろしいほど、耳に飛びこんでくる。

「誰もが知っているワインをセレクトするのも大切だけど、もっと斬新で素晴らしいワインも選びたいな。例えば、地中海あたりにある・・・」

スピーディーな話と同じ速度で、ワインを次々にテイスティングしていく。

スタイル、ファッション、申し分なし。

 

 

 

 

僕は感じた。

とにかく、グレードだ。

ANAワインセレクションが変化を遂げたなら、それは、間違いなく、ミスター・ネッドの

参加によるものだろう。

勿論、ワインセレクションの成功はそれに関わる人々のサポートがあったからだとは思うが、とにかく、ネッド氏はワインの鬼才だ。

 

               “おもてなし”

           OMOTENASHI

           主役・機内食シェフ・清水 誠

ANAケータリングサービスは、もう世界的なケータリング会社だ。

機内食、デザート、飲み物全体をプロデュースしている、最高の食のエンターテイメントを演じている。

 

清水は元々、全日空ホテルチェーンに所属しているシェフの一人だった。

機内食担当のシェフとして選ばれて数年過ぎた。

現在、世界で活躍している最強のシェフたちとともに、2013年09月からスタートした、

「ザ・コノシュアーズ」The Connisseursのメンバーの一人だ。

「辻留」辻儀一、「石葉」中田貞年、「津やま」鈴木弘征、「タテルヨシノ」吉野建

「リューズ」飯塚隆太、「WAKIYA」脇屋友詞、など、国内のそうそうたる食の達人たちと、海外からは、現在ANAファースト、ビジネスで出されているデザートの巨匠、フランスが誇る、パティスリー・ピエール・エルメ、ワインディレクター・ネッド・グッドウィン、が加わり、最高峰のメンバーで構成されている。

そして、ANAからは、ソムリエ・井上勝仁、和食・柏修、上村四四六、田中聰、久保正信、洋食・吉倉福三、清水誠、工藤孝夫、ペストリー・高橋正、香取伸亮、が加わり、総勢24名の食の匠によるANA機内食パレードがスタートした。

既に、シンガポール航空では、世界の食の巨匠8名を集めた「インターナショナル・カナリー・パネル」を実行して、話題を集めているが、それ以上のバラエティに富んだ、メンバーで構成された「ザ・コノシュアーズ」は絶対だ。

清水が作る洋食機内食は、非常に独創的だ。

もともと、オリジナルを重視した料理が得意だ、日本に散らばる食材を求めていま、清水は日本全日空ホテルを舞台に新しい日本食材をベースにしたANA機内食を考案している。

これこそ、ANA機内食究極の追求だ。

 

更に清水はいう「機内食とワインはバランスが大切です、ワインが優ってもいけないし、機内食が出しゃばってもダメです」

「程よくかみ合うこと、やさしく機内食を立て、機内食はワインを受け入れる、このバランスが程よいのです」

ワインが中心なのか、機内食にワインを合わせるのか、清水は常にそのバランスを大事にしている。

「ANAのお客様から、美味かった、また、食べたい、という声が聴けることが一番幸せを感じます」

確かに、世界の空の食のバトルは、激しさを増す、しかし、今のところ、ANAに決まる公算は高いかもしれない。

理由は、デザートのピエール・エルメも、ワインのネッド、井上も、洋食の清水も、また、そのほかのシェフたちも、機内エンターテイメントへの意気込みは半端ではないからだ。

 

世界の航空機機内エンターテイメント・コンテストを開催されたら、文句なく、間違いなく、ANAが勝利を手にすること間違いないだろう、と感じる。

 

 

 

 

 

 

 

清水は魚の料理が得意と話してくれた、今度機内食工場を取材して、食べてみたい。

その報告は、nagasawamagazineで、楽しみに、お待ちください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・取材・インタビュー・Nagasawamagazine

  フォトグラファー・五頭 輝樹

 
 “OMOTENASHI”
 “OMOTENASHI”