ANA 機内、ラウンジ、日本酒選定会 2015
日本の”sake"文化の発信・ANAの役割
「國酒」にこだわるANAが、「日本のSAKE文化の発信」と謳って、メディアを呼んでの、2015年度、ANAラウンジ、機内ファーストクラス、はじめ、ビジネス、プレミアムエコノミーの日本酒選定会を7月2日(水)羽田空港・ANAC工場・3Fの会議室で開催しました。
この会に、わがnagasawamagazineも末席を汚させてもらい参加。そのレポートをお伝えします。
選考リストに挙がったのは、ファーストクラス、ファーストクラスとビジネスクラス、ラウンジ、国際線短距離とプレミアムエコノミーと国内線プレミアムクラスの日本酒に加えて、そこで提供される珍味。
日本酒は日本酒造組合中央会(東京都港区、組合員約1,800社)から推薦されたものから、選考をへて選ばれた59銘柄。
就航している県の銘柄かと思いきや、そこは日本酒の普及に力を入れているANAだからこそ、そこにこだわらずに選ばれた酒は、北から南、純米から純米大吟醸、生から火入れまでよりどりみどり。
日本酒を選定するメンバーは、ANA・CONNOISSEURS(コノシュアー)のメンバーである、TVBSで居酒屋を巡る番組を持つ評論家の太田和彦氏を筆頭に、ANAの和食担当、機内食担当、メディアも併せた審査員によって試飲会が開かれました。
Nagasawamagazineは、太田氏がいらっしゃるということで、もう少しマニアックな日本酒がラインナップされるのかと思いましたが、この会の責任者・ANA・山本ひとみ事業部長によると、
「マニアックなものは生産量が少ないので、機内で消費される量をまかなうことができない」という。
量が確保でき、製品にストーリー性があり、しかも美味しいという3点が重視されたとのことでした。
また、機内に持ち込む日本酒は「生酒」は難しく、基本「火入」のものを選ばれたと話してくれた。
まずはファーストクラスの日本酒選び。
一次の書類選考をへて第二次選考に選ばれているのは、北は青森の「じょっぱり純米大吟醸」から南は香川の「煌金陵」まで15種。いずれも劣らない味わい。水を片手に審査を進める審査員。
Nagasawamagazineも参加し、それぞれを飲むも、うーん甲乙つけがたい。
そこで和食総料理長・上村四四六さんに、いじきたない質問をしてみました。
「ファーストクラスといえば、洋食とワインのマリアージュですが、日本酒も和食とのマリアージュを求めるとすれば、食べ物なしでお酒を判断するのは難しいのではありませんか?」
Nagasawamagazineは、和食を食べながらの選考を暗にお願いしたのですが、上村総料理長は、さらっと「日本酒にプレミアム感を感じてほしいので、今回はお酒自体の味だけで選んでいただきたいと思いました。お客様の好みもありますし、基本的に日本酒は和食と合いますから」とのこと。
まあ、ファーストクラスに乗る人で食べ物にガツガツしている人はいないですね(笑)
そんなこんなで第三次選考に進んだのは、
1位から石川県「手取川 純米大吟醸」(日本酒度±0)、宮城県「宮寒梅 純米大吟醸」(日本酒度+2)、青森県「じょっぱり 純米大吟醸」(日本酒度-1)、山口県「雁木 純米大吟醸」(日本酒度+4.5)の4品。
全部、いわゆる「日本酒っぽい」酒で、「雁木」が若干フルーティでしたが、個人的に埼玉県の「花陽浴」押しだったnagasawamagazineとしてはちょっと意外なセレクトでした。
つぎにファーストクラス&ビジネスクラス。
こちらは秋田から香川の全13種。
ここで選ばれたのは、1位から奈良県「春鹿 純米吟醸」(日本酒度-1)、岐阜県「瀧津瀬 純米大吟醸」(日本酒度+2)、秋田県「秀よし 純米吟醸」(日本酒度+3)、石川県「手取川 特別純米」(日本酒度-3)の4品。
「手取川」人気ですね(笑)
岐阜県で言えば「津島屋」なんていう日本酒もあるのですが、この「瀧津瀬」は知りませんでした。これはおいしかったです。
つぎはラウンジ。
ここはnagasawamagazineもきちんと利き酒をしました。
ラウンジには気圧の問題もないので、生酒を含めた青森県から広島県までの13種に加え、スパークリング日本酒が6種。
nagasawamagazineが選んだのは、
新潟県「越の誉 大吟醸」(日本酒度+3)、新潟県「菊水 吟醸生酒 無冠帝」(日本酒度+4)、宮城県「一ノ蔵 特別純米」(日本酒度+1~3)、東京都「蒼天 純米吟醸」(日本酒度+1)の4品でしたが、「一ノ蔵」だけはずれて、兵庫県の「龍力 純米吟醸」(日本酒度+2.5)が選ばれました。
スパークリングは甘味が強いものが多かったのですが、岐阜県「長良川」、福島県「奥の松」、秋田県「ラシャンテ」が選ばれました。
「奥の松」は以前からスパークリングに力を入れていて、かつて日本のフォーミュラニッポンではF1でのシャンパンファイトにならって(こちらはMUMMコルドンルージュを使っています)、「奥の松スパークリング 純米大吟醸F・N」を使った「シャンパンファイト」が行われていましたね。
国際線短距離およびプレミアムエコノミー、国内線プレミアムクラスは新潟県「越の誉 純米吟醸」(日本酒度+3)、茨城県「久慈の山 純米」(日本酒度+2)、岡山県「嘉美心 純米吟醸」(日本酒度-4)、長崎県「普賢岳 特別本醸造」(日本酒度+2~3)、京都府「龍口水 特別純米」(日本酒度±0)、徳島県「芳水 純米吟醸」(日本酒度+7)と国内線で供されることもあって、全国各地から選ばれています。
さて次は珍味。
「鮭ルイベ山葵和え」から「ハタハタはまやき」まで8品。
どれもが濃い目の味付けだったので、和食総料理長の上村四四六さんに伺ったところ、
「気圧が低くなると、味が薄く感じると仰るお客様が多いので濃い目にしています」とのこと。
気圧で味覚が変わるとは深いですね。そのおかげもあって、どの日本酒にも合って、全種類とてもおいしくいただくことができました。ここから6品選ぶのは難しいのではないでしょうか?
最終的に、これまでご紹介したもののなかから各2~3点ずつ選ばれ、読者のみなさんがANAのファーストクラスやビジネスクラス、プレミアムエコノミー、プレミアムクラスを利用されたときに供されます。
そして、その選定理由はキャビンアテンダントやラウンジの係りの方に聞くことができる(CAの方と話ができるチャンスです!)ので、ぜひ、話しかけてみてください。
また、路線ごとに搭載される日本酒も違いますから、ぜひANAを利用して確認してみたいですね。
ANAの國酒は、全体的にみるとやはり、水を主流、味わい深い日本酒が選ばれていると感じました。
和食とのコラボ、これは世界にない絶対の組み合わせです。
空の旅、ANAは我々を喜ばせてくれるエースを持っている。
取材・写真・nagasawamagazine・編集部 2014・7・2