NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

回 想 録 1年と今

 

201137日付のブルガリがLVMHグループに入るという発表は大きなショックでした。良き時代のファミリー企業がついに幕を閉じたのです。

 

ブルガリは1985年にフランチェスコ・トラーパニが弱冠27歳でグループ4代目社長に就任、急速な拡大戦略をとりながらも、1884年創業以来築き上げてきた顧客への信頼と、社員を「ファミリーの一員」として大事にする企業理念を変えることなく、ただひたすらにラグジュアリーブランドのあるべき理想の姿を追求してきたと言えるでしょう。

 

色々な機会を通じてグループ間のコミュニケーションの促進が図られ、気が付かないうちに豊かな人間性を身に付けた仲間たち。その中で育まれた社員のブランドへのロイヤルティ。

 

そして、プライド。今から思えば、他のラグジュアリーブランドとは明確な一線を画す「ブルガリワールド」でしたが、実質的には最初で最後の日本人社長であった私が退任とほぼ同時に、多様化したグループの組織や戦略が大幅に変更された時点で終わり、形式的にはこの発表で完全に消滅したと言うことになります。

 

 

それから一年、何となくやりきれない思いを感じていた時に頂いた話がこの回想録の連載でした。歴史の流れの中に消えて行く当時の色々な事がらを、とにかく記録として残すことが出来る機会をいただいたわけで、手探りながら始めて、あっという間に1年が経ちました。

 

有難いことには、この間いろいろ反響をいただきました。回想録がキッカケで、元の仲間から忘れかけていた色々な情報をいただき、また編集会議と称する場をあちこちで持って、旧交を温めることもさせていただいています。

 

お蔭でネタは手元に十分。当マガジンの永澤主幹のご指導を得ながら、これからも<読める回想録>を目指して稿を重ねたいと思っています。

 

平成255

 深江 賢