NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

気になるコーナー ・1

洒落おやじ・工藤毅志

サントリー美術館

日本全国で美術館は一体何軒あるのだろうか?

数えたことがないので判らないが、各県に最低一つ以上はある筈だから、博物館まで入れれば100軒以上は間違いない。東京だけでも美術館巡りをしたら1週間では足りない。

パリの世界的に有名なルーブル美術館は、常設展示だけでも1週間通わなくては全部が見終わらないそうだから、美術館へ行くのも結構大変だ。

そんな中で、僕が今お勧めなのは、よくご存じの東京六本木の東京ミッドタウンガレリア3Fにある「サントリー美術館」だ。それは、主に次の二つの理由からである。

第1の理由は、サントリー美術館が丸の内で半世紀前に開館して以来の所蔵品を中心に、「生活の中の美」をテーマに多彩な企画展を紡いできた美術館の歴史は、ミッドタウンに開館してから毎回、あっと驚く企画が多い。

2つ目の理由は、世界的に有名な隈研吾氏の設計がその生活の中の美を感じさせる、和のテイストが十分に生かされていて、落ち着いて企画展を楽しめることなのだ。


前回企画展「生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村」展を見て、中々目にすることが無かった若冲ファンはもとより、同時代の二人のコラボに学芸員の着想に感心したのです。

着想のマエストロ 乾山見参!

さて、今回ご紹介は2015年7月20日(月・祝)まで開催の「着想のマエストロ 乾山見参!」です。 そのプレスリリースから、概略を抜き書きしてみると、尾形乾山(深省シンセイ)は寛文3年(1663年)に京都の富裕な呉服商・雁金屋の三男として生まれ、5歳上の兄はいわずと知れた琳派の尾形光琳だ。

早くから隠棲の志が強かった乾山は、二十代後半には仁和寺門前に隠居して、隠士としての生活を始める。そして、近隣に窯を構えていた野々村仁清に作陶を学び、元禄12年(1699)、京都の北西・鳴滝泉谷に窯を築いて、本格的に陶工としての活動を始める。窯の名は、京の乾(イヌイ)の方角にあたることから、「乾山」としたのです。

こうした育ちの乾山の陶磁は、どんなものなのだろうか?

そこは、第1章から第6章までの展示構成を見ていくと詳らかになっていくのだ。

第1章        乾山への道―京焼の源流と17世紀の京都

第2章        乾山楓爽登場―和・漢ふたつの柱と大平面時代

第3章        「写し」―乾山を支えた異国趣味

第4章        蓋物の宇宙―うつわの中の異世界

第5章        彩りの懐石具―「うつわ」からの解放

第6章        受け継がれる「乾山」―その晩年と知られざる江戸の系譜

色絵定家詠十二ヶ月 和歌花鳥図角皿
色絵定家詠十二ヶ月 和歌花鳥図角皿

第2章「乾山楓爽登場」より
尾形乾山、色絵定家詠十二ヶ月 和歌花鳥図角皿 元禄15年(1702年)MOA美術館(無断転載禁止)

白泥染付金彩芒文蓋物(重要文化財)
白泥染付金彩芒文蓋物(重要文化財)

第4章「蓋物の宇宙」より
尾形乾山、白泥染付金彩芒文蓋物、重要文化財、江戸時代 18世紀 サントリー美術館(無断転載禁止)


京育ちの乾山が、京焼の伝統から始めて、その時代の息吹を感じながら、文化人や海外から入ってくるアートに触発され、独自の着想で陶磁を造り上げていっただろう乾山の人となりを想像しつつ、展示を見ていく楽しさ十分の展開であった。

器好きにはたまらないだろう。是非、ご覧ください。

サントリー美術館 (東京ミッドタウンガレリア3階)

交通:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結
   東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路で直結

開館時間:10時~18時、金・土 及び7月19日は20時迄(休館日火曜日)
入館料:大人1,300円、大学・高校生1,000円 中学生以下無料
ホームページhttp://suntory.jp/SMA/