NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

ワイン・バトラー・ニール・52

異分子

2020年も半分が過ぎようとしています。月日が流れるのは早いですね。

突然ですが、読者の皆様の中には転職をされたことがある方はいらっしゃいますか?私は大学を卒業してから2年目の春に横浜のホテルから東京のホテルに転職しました。それから約24年東京のホテルにソムリエとして勤務していましたが、48歳の時に早期退職せざるを負えなくなり、それを皮切りに都内の老舗のアパートメントホテルや中伊豆のワイナリーホテル、ペットと泊まれるホテルと幾つかのホテルを経て現在の宿泊施設に支配人として勤務しています。今年の3月に箱根から千葉にあるグループの施設に転勤になりましたが、今から3年10か月前に箱根で経験してきたことを少し記してみたいと思います。

私が着任したのは箱根の彫刻の森美術館の近くにある宮ノ下蛇骨というところに宿泊施設があり、そこに着任しました。場所柄、着任した当時は兎に角、彫刻の森駅の前にローソンがある程度で本当に日用品や食料品の購入が困難なところでした。私が住んでいたところはローソンの裏に箱根中学がありそこから少し上ったところに会社が借り上げたマンション(1k)がありました。そこから歩いて10分のところに私の勤務する施設がありましたので通勤にはとても便利でした。私のディリーは、朝4時30分に起床して5時には出社。そして神棚に手を合わせてから、夜警のスタッフの引継ぎをうけてから管内巡回を始めます。6時前には調理場のスタッフが出勤、その後ダイニングのスタッフが出社してきます。朝食の準備が始まります。私は7時30分にはオープンしますのでその準備を手伝います。朝食が始まるとブッフェの料理を差し替えたり下膳配膳をして8時30分まで手伝います。朝食は9時までですが私は会社の連絡も見ますので事務所に引き上げます。9時からは朝礼をしその後、朝食を摂ります。朝食の時間は本当に時間を掛けませんので9時40分にはフロントに行ってチェックアウトを手伝います。落ち着くのはおよそ10時30分から11時ころで、その後、30分から40分位、最初の休憩をとります。ここまでが午前中の仕事です。但しイレギュラーも沢山ありますから、前の晩にゲストが発熱したとか嘔吐したとか引継ぎ連絡があると朝食をお部屋にお持ちしたり、出さなかったり、その時の判断によりますが、色々とイレギュラーもありました。

お昼はランチをやってから13時30分から16時くらいまでは中抜けと言って、マンションに帰り休憩したり、自分の趣味に興じたりしまた16時30分あたりから夕食の準備を手伝います。ディナーは18時、18時40分との2部制ですがおよそ19時には落ち着くので、19時30分にはマンションに帰ります。これが私のディリーワークでした。

一般的な会社ですと中途採用は試用期間で3か月ですから、この期間に不備があると、採用取り消しになるわけです。今まで私は転職してきた経緯ではそういった心配もなく過ごして来ましたが、丁度、3か月過ぎたころに本社から総務人事の部長が来て「少しヒアリングしたいので」と言われたので、何かなぁ?と思いながらその部長と人事担当者と3人で話を始めました。最初に部長に聞かれた内容は???でした。「ちょっと伺っていいですか?現在、着任してから約3か月経ちましたが、電気代とガス代がとても低いので、何か、借金とかしていますか?」と言われたことです。着任したのはちょうど5月あたりで初夏の温かい季節でしたが、上記に記しました様に、自宅マンションには寝に帰るくらいのスケジュールでしたので殆ど電気も使わない訳です。又ガスも会社で従業員食堂を使えばとりたてて何かを作る訳でもなく、更に、会社にはシャワー室がありますから休みの日以外はガスを使うこともない訳ですね。又私は職業柄ワインを中心に飲食をしますからややアルコールは人より多く飲みますので痩せてはいますがアルコールからくる体脂肪の上昇や尿酸値の数字はやや高いので改善のために薬を飲んでいますが、薬のことも次のように言われました。「何だか色々な薬を服用しているようだけど、何か病気がありますか?」と言われましたので「健康診断でしたら入社前に診断書を出していますからその通りで普通ですよ!」と。

さて皆さんはこういわれて、何か変だ?何かおかしい?と思いませんか?そうなんです、私の日常は完全に本社の人事にリークされているというか、だだ漏れしている訳です。この電気代だのガス代など、当然知っているのは、箱根の給料管理をしている総務担当の私の、はす向かいに座っている課長から漏れていること以外何ものでもない訳です。本来ならば、何でそんなことを、いちいち報告するのだと目くじらを立てたくなりますが、私は敢えて黙っていました。そうしましたら、私の発言やら、普段の些細なことまで全部、本社の人事は分かっていて、例えば、就業時間が終わって帰宅途中にビールの缶をもっていたりしますと、館内で飲酒しているとか、アル中じゃないか!とまで言われました。もう呆れて果てて開いた口が塞がらないという事態にまで発展しました。

疑わしきは罰せずという言葉がありますが、事実と異なることに尾ひれが付いて、やっていないことにまで疑われる始末でした。私はそれでも疑われるようなことをしたのだから仕方ないと変に自分を納得させていました。

さて、では何故こんなことが起こるかというと簡単に説明すると、私のようにある日突然、本社が支配人として採用した人間が、着任すると、今まで現場にいたプロパーの方達は、何か組織を大きく変えてしまうのではないか?支配人の一言で、自分たちがやらなくて済んだことまでやらされるのではないか?と詮索が始まるのです。そうなると彼らにとって私は異分子なわけであります。ですから先制攻撃を仕掛けてしまおうということなんです。実際は私から何か特別にやれ!ということはないんですが、相手からしたら心配なんでしょうね。そういう人?方達の方が仕事をしなかったり陰でコソコソしている訳であります。私は敵地に落下傘部隊として一人で戦場?(笑)に放り込まれた人間なんです。(ある意味虐めですよね!)

そういう時は、反論しても、策を講じても無駄ですから、じっと大人しくしているのに尽きます。良く私は「時期が来ればわかるよ!」と部下には言いますが、時期が来れば、およそ、やましいことや後ろめたいことをやっていない限りは理不尽な方が、事実が明らかになり、追い込まれます。現在の勤務先では、社長が「あんなに良くやってくれているのに何故?みんなして支配人を追い詰めるようなことをするだろう!詰まらないことは止めなさい!」と陰で言ってくれるている様でした。感謝ですね。

私の事を陰で告げ口していた総務の課長は私が異動してから、彼の仕事のやり方が変だということで反対に注目され、職場では浮いていると聞きました。私が朝食を手伝っているときに、彼は、9時出勤なのに7時30分に来て、コーヒーを飲みながら日経新聞みて、8時にはタイムカードを押し、9時から18時勤務を、8時から17時勤務にタイムカードのシフトを前倒しして一時間でも早く帰ろうとします。私も気が付いていましたが、私の部下も気が付き、「勤怠を自分の都合のいいように勝手に変えているからルール違反ではないか!」と言ってきましたので、私は「いいんだよ!時期が来れば分かる!」と言って部下を、なだめました。今、そういったことが本社に明らかになりつつあり今度は彼が私に仕掛けた分、ご自身の身に降りかかってきます。山の中で大きな声で「バカ~!」といえば、やまびこの原理で「バカ~!バカ~!バカ~!」と何倍になって帰ってくるがごとくであります。世の中はそのように出来ています。このことを、空海は「一点四海、回帰妙法」(いってんしかいかいきみょうほう)と呼びました。池に石を投げる。そうすると波紋が出来て岸にぶつかり、その波紋は又、石が投げ込まれたところに戻っていくという法則です。人間世界は色々な不思議なことから人生を又生き方を学べるように出来ています。

話を元に戻しますと、このような反対者が出てきたて足を引っ張られたりして、転職してからも、実力がありながら、それを出し切れない人がいますし、同じようなことを経験された方は多々いらっしゃると思います。仕事が出来る人、いい人、信頼のできる人、等、いいことばかり並べても、環境に適応する能力がないと潰されてしまいます。群れた人達は残念ながら群れから出たがりませんし新しいことは嫌いです。転職にはギャラや待遇の他に一番大事な人間関係を見極めることが重要です。

by ニール

 

 

 

51回を迎える「ニール」、いtも身近で、必要な話題を取り上げてくれます。

ニール自身は。多忙な毎日を送っているのですが、「ニール」の記事には毎月テーマを決めての記事を送ってくれます。読者の人からのコメントも、うれしいですが”ニール”の連載は貴重です。

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