NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

ワインバトラー・ニールのライフワーク Part 38

年を重ねる!

私は今年、57歳になりました。

現在は箱根の会員制のリゾートで支配人をしています。

業務は宿泊業ですがトータルでのマネジメントになりますので多種多様な職場の全体を見ていますので何か、これだけに特化したという業務はありません。

一日の始まりは5時30分から6時までには出勤、幸い勤務している施設から徒歩で10分くらいのところにマンションを借りていますから東京に勤務していた頃の1時間半の電車通勤はなく苦痛を伴いません。職場に到着するとまずは夜警警備のスタッフと引き継ぎをしてから館内巡回をします。大抵は夜警警備さんがしっかり勤務してくれていますから大きな事件がない限りザッと見回ります。主に衛生関係を注意して見回りますが、汚物や、遺失物の管理、スタッフの体調管理表とかパブリックトイレ、スモーキングエリアの点検、はたまた従業員食堂も見回ります。

6時には調理人が出勤してきますし、6時半になりとレストランの朝食のスタッフが出勤してきます。7時半から朝食が始まるので入り口回りの接客や配膳下膳なども手伝います。9時に朝食が終わると朝の主要セクションの全体のブリーフィングで当日の予定など確認をします。それから9時半から10分もかけずに朝食を摂り9時40分くらいからチェックアウトのお見送りをします。

およそ10時20分くらいまで。その後、メールを確認したり、ゲストコメント、報告書や数字に目を通します。12時半くらいになると一旦、自宅マンションに戻り15時半くらいまでは自宅で休憩しますがこの時、晴れていれば、45分くらいウォーキングをします。自宅では疲れて横になるときもあれば読書をしたりその時によって様々であります。およそ16時に戻って夕食のスタンバイを見に行ったり、バーやラウンジが片付いていなければ手伝ったりし18時から夕食を手伝い19時15分から30分で終えて帰宅という感じです。大変だなぁと思われる方とそうでない方がいらっしゃると思いますが、しっかり休憩時間があるので比較的ハードではありません。ただ雨が降ったりしたときは、会社から自宅に休憩しに戻ることはせずに会社との仮眠室で横になったりしています。

ある日のことでした、雨の日ではなかったのですが用事で自宅へ戻れなかったので、会社の仮眠室で横になっていた時のことでした。会社の仮眠室はロッカールームの奥に仮眠用のベッドがあります。ロッカー室の入り口から入ったところに洗面台が2台ありましてロッカーが4列あり、洗面台から仮眠するベットまでは少し距離もあり陰になっていますから見えないのです。つまり誰かが仮眠をしていてもわからないということです。私のデスクの隣で働いている事務管理のスタッフが食事をしてその洗面台で歯を磨いているようでした。その時に、ご年配の女性清掃スタッフが彼に向って次のように話しかけてきました。「ねぇ、ねぇ、ここの支配人はあんまり笑顔がないけどさ、あれで支配人なのかねぇ?(もちろん支配人とは私のことです)」聞かれた事務管理スタッフは歯も磨いていましたから無言でした。その後、10分くらい経ってから休憩も終わりだったので事務所に戻りました。事務管理のスタッフには「さっき休憩していたから話が聞こえてしまったよ!」といいましたらその事務管理スタッフは大人なので「そうですか」とだけ言いました。その後、お手洗いに行きたかったので通路を通っていましたら先ほどのご年配の女性スタッフとすれ違うところでしたので私はこう言いました「おかあさん!さっきの話、きこえちゃったんだ、ごめんね~。でもさぁ~人の悪口っていうもんじゃないよね~、もういい年齢なんだからさぁ~」と。そうしましたらドキッとしたのか無口のまま立ちすくんでいました。

私は常日頃、自分の部下、若いスタッフにはこう言い聞かせています。これは考え方の一つとして教えています。「職場にAさんBさんCさんがいたとする。今日はAさんが休みだったとする。するとBさんとCさんでAさんの悪口や陰口を言っている。Bさんが休めばAさんとCさんが・・・。Cさんが休めばAさんとBさんが・・・。人間関係なんてそんなものだ、くらいに考えておきなさい。悲しいことだけど現実がこれくらいだからって、反対に諦めちゃうとすっきりする。但しこんな職場では働きたくはないし、みんなにはこういう職場や人間関係を構築してほしくはないのが本心だけどね」と。仙人はあるときこんな風にも教えてくれました。人が自分の悪口を言っていたとする。でも、そんな悪口でも聞こえて有難い!と。人の悪口なんか聞きたくないというならば、そうかそんなに聞きたくないのなら耳が聞こえないようにしてあげるねと言って耳が聞こえなくなるし遠くなるんだよと。簡単に文字に起こしますが凄い悟りのような境地であると思います。

私の勤務する施設は約20名くらいの清掃担当の方がいらして良く働いてくれています。こういう業界ですからご年配の方も多く、心の中では、寄る年波に大変だな、ご苦労様と感謝しています。但し、あまり普段から話をする機会はないので、すれ違いざまに挨拶を交わす程度ですから、ご機嫌取りのように、「今日は天気がいいですね!」とか「頑張ってね!」とかそのような言葉をかけることはありません。

たまにオシャレな装飾品を身に着けている方がいた時には、「何処で買ったんですか?きれいだね!」くらいのことは声がけしたのは覚えていますが・・・。

私はそのスタッフのことはよく知りません。現在、時期的なこともあり、11月~翌3月まではマスクをするというルールになっていますから顔もお互い余りよく見ていないはずなんです。ですから挨拶程度でしかもバックスペースで顔を合わせるかどうかの存在なのに、私のことを批判というか、そういう目で、心持ちで見ていたのです。正直なところ、私はもっと酷いホトホト嫌になるような経験は積んできていますのでこれくらいでは相手にはしません。しかしおそらく60台後半から70代くらいの年代で、ただ単に、私を見てそういうことを言っているようでは、普段の生活も想像がついてしまうので、ちょっとだけ、ご指摘させていただきました。

仙人はこうも教えてくれました。自分(仙人)が子供の頃、セミの背中が割れて脱皮するのを見て、「人間もこんな風に背中が割れて脱皮して大人になっていくんだ!脱皮は動けない状態だから他から捕食の対象の時期なので命がけ。」と思ったそうです。辛いこと、反対するものが表れて、いじめられて、鍛えられて人間の酸いも甘いも嚙み分けて人格が形成されていく。鉄だって土の中から取り出されて、その時は使い物にならなくてやがて強烈に熱をくわえられて、ハンマーで叩かれて形を作って、磨かれて使える道具になってゆく。人間も同じと。ですから人間は年齢を重ねる度に色々な経験を積み研鑽して、角がとれて丸みを帯びた人格者になっていく。だからご年配の方々は知恵者として尊敬され相談役となったりするわけであります。しかし前述しましたご年配のスタッフの方はどうでしょうか?ご自身の立場もわからず、外見だけで判断し私を批判したりして、私は平気ですが、ご自身は恥ずかしくないのでしょうか?発言も年配者、先達としての発言ではありません。私が想像するには、これでは、ご自宅でも仮にご子息に、お嫁さんが来たら、又あるときはご主人の不満も平気で口にするような、そんな家庭生活を送っているのでは?と容易に想像がついてしまいます。いくら年齢を重ねても、他人の良いところの見てあげる。褒めてあげる。状況を察してあげる。という行為や気持ちが大切なのではないでしょうか?私を理解してもらいたい。あ~してもらいたい。こ~してもらいたい。という気持ちが強すぎるとこのような発言が口から何気にポンと出てきてしまうのです。太文字を良くみてください。

仙人は教えてくれました。あげる、あげるというのは、あげるものがあるから、お金持ち、昔で言うなら大名になる。もらいたい、もらいたいというのは、物乞いであるから、お金持ちではないし大名にはなれない。と。

人の悪口、陰口を言うのは簡単であります。反対に良いところを見つけて褒めてあげるのが難しい環境とか時代になったのでしょうか?幼稚園生、小学生、中学生、高校生、大学生、年齢を重ねる度に、様々な勉強は、(学習以外にも人間関係とかも勉強と考えると)だんだん難しくなって行くわけです。難しい問題を解けたら人生の大学生ですね。皆さんはどうですか?

 

ご年配のスタッフは私になにを求めているのか私には分かりませんが、うっかりの一言は相手を傷つけるものですし、「私、誰誰ちゃんきら~い。」って、言い方が悪ければ謝りまりますが、人生の小学生くらいにしか感じません。こんなことでは、私は傷つきませんが又その一言から色々な判断ができてしまう訳なので、心で思っていても抑える力が本来あるはずなのに残念だな、良い年輪の重ね方をしてこれなかった可哀そうな方だなぁとも思います。

そういえば、年齢を重ねることでワインも熟成して味が円やかになったりしますね。ワインの場合は保存が大事で人間と違ってそっとしておかないといけませんが・・・。

その後は?というと、廊下で会っても、挨拶くらいは交わしていますよ。命尽きるまで勉強なのですから今からでも遅くありません、人間として良い熟成、味のある年輪を残して頂きたいと思いますし自分も、そうありたいと思います。

 

桜は満開ですか?箱根より。

 

by ニール