NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

ワインバトラー・ニールのライフワーク Part 32

潰れない究極の飲食業界の形態

場末のバーカウンター
場末のバーカウンター

私が以前勤務した会社で給食業界から大きく成長し幅広く、

B to C(ビジネスを顧客に対して行うビジネス①)

B to P(ビジネスを公共施設運営に対して行うビジネス②)、

B to B(ビジネスを異業種ビジネス又は同業他社に対して行うビジネス③)

と拡大していた会社がありました。

そこの社長は先代の社長が築き上げたビジネスを上手に継承している様でしたが本業の給食ビジネスは嫌いな様でした。給食ビジネスは華やかさが無い様に思われていたようなので、 B to C ①の中でもレストラン・バーの飲食業界に憧れを持っている様でした。

しかしながらこの業界はご存じの通り浮き沈みが激しく又色々な意味で人(ゲスト、スタッフ)の管理も難しく、厄介な業種になります。

例えば B to P ②の様なサービスではどんなことがあるかと言うと、例えば図書館の管理だとか、●○市の市長の黒塗りの自動車の運転手や車の配車サービス等がありますが受託すれば管理費を頂いてその中から運営をするだけなので差ほど①に比べて困難なこともありません。

B to B ③も例えば何かオリジナルな商品を開発してそれを下請け先に任せれば良い仕事になりますから①程、手間もかかりません。しかし①の中でも飲食のサービスは本当に成功=利益を出すには、軌道に乗る、乗せる、向上維持させるには大変な困難があります。しかしこれを軽視して異業種参入すると本業で得た利益を垂れ流すことになりますから注意しなければならないのですが一部のオーナーはこのことに気が付かず大抵は失敗します。

もちろん成功例もありますが。以前にも記しましたが、こういう場合、社長=オーナーは、既存スタッフのいう事をまず、聞いてくれません。そしたて、コンサルを入れたがります。そしてコンサルやデザイナーを入れて大失敗します。

この時、私は利益改善を図ることが出来ましたには回りのスタッフが私の言うことを素直に聞いて実行してくれたためです。此処で重要なことは何故、利益改善できたか?ということですね。これは後程、ご説明いたします。

又別の会社では、こんな経験があります。不動産屋が本業ですが、社長のワイン好きがこうじてワインバーをやって失敗した例があります。私はこのお店の立て直しを任されましたが、コックさんが立て直しに非協力的で全く事業改革が進まないことを経験したことも以前に記しました。私のいうことを全く聞き入れてくれませんでした。

 

                  必要なものしか置かない
                  必要なものしか置かない

では本題に入りますね。飲食業というのは本当に生き残りが困難な業態ですが、良く考えて見て下さい、既存で残っているところは、ファミレスという業態があります。

先日も●イ●リ●という店舗に入りました。入口に入るとゲストが来店した時の「ピンポ~ン」という音が流れてからスタッフが出てきて案内してくれます。ここではホテルのレストランや高級店のように入口に案内約のスタッフ(アテンドとかグリーター、グリートレス)はいません。店内は以前にも記しましたが完全に分煙されていまして喫煙、禁煙の希望を聞かれます。そしてお席に案内されると、メニューの説明もなく(お勧めやら旬の物など)「メニューが決まりましたらテーブルのボタンを押してください」と言われるだけです。

本当に安いものなら100円位からフォカッチャというパンもあり、299円、399円、499円くらいの価格帯が主流で各6アイテム位です。さらに900円から1.000円前後は4~5アイテムくらいです。飲み物(ドリンク)もドリンクバーでノンアルコールなら飲み放題で200円しません。ワインも高くてボトル1.000円でイタリアのリーゾナブルなワインが楽しめます。私はここで、先ほどのフォカッチャと299円のほうれん草とベーコン炒め、399円の辛みチキン、399円のサラダと499円の500mlの白ワインのデカンタを注文しましたがこれで充分でした。

回りの席はほぼ埋まっていますが私の様な「一人ちょい飲み」みたいな方はいるのかなぁ~と見ていましたら結構います。しかも若い女性や何と年配の女性がいました。どんなものを注文しているのだろう?と思い、セルフで自由にとれるオリーヴオイルを取りに行くときにテーブルの上を観ましたら、バンバーグと付け合せたっぷり野菜のプレートが一台、乗っていました。そして赤のグラスワインをチビチビススっていました。なるほどなぁ~、あんな注文の仕方をすればトータルは1.000円ちょいくらいで納まるし私のようにあれやこれや注文する手間も省けてしまう。使い慣れているんだな!と実感しました。若い女性の一人飲みもどちらかというとピザ1枚399円にサラダ299円、後はグラスでサングリアをとっていました。感心しているというより、キョロキョロして観察に勤しんでいる自分に気が付きました。ふと窓際から外の商店街を見ると夕方になっていて、もちろん学校帰りの学生さんや主婦、家族連れと様々なお客さんで店内は埋め尽くされていました。

私は都内のホテルのレストランやゲストが比較的かしこまった容姿で出かけるレストランやバーで働いていましたので随分、ファミレスという業態は生き残りをかけて切磋琢磨しているなと思います。

もちろんその様なレストランとファミレスとはゲストが出かける目的も意図も違うのは充分分かっていますがそれを前提で少しお話しますと、潰れない飲食、外食店の究極の形つまり原型とはファミレスも少し横に置いて考えると、こういうことだと思うのです。

          飲み屋横丁
          飲み屋横丁

それは、例えるならば、新宿の場末のバー等です。

この業態を考えた時、まず、潰れてる店は少ないと思います。

何故なら、余分なものは一切、そぎ落としているからです。ウイスキー、焼酎、日本酒にしても必要最低限のアイテムしか置いていません。変な言い方ですが食事もまともな綺麗な料理は余りなく、乾きものやいわゆる袋詰めパックや缶詰のような完全調理品です。でそこで働く従業員はママさんのみあるいはママさんと居ても追加で一人くらいですね。では来店ゲストは?というと殆どが常連です。ゲストが何か他の飲み物やおつまみや食べ物が欲しくなったらどうするか?近所のお店からデリバリー配達させてしまいます。又好きなお酒を持ち込んで持ち込み料金だけいただきます。つまり何が言いたいのか?というと、このやり方だと無駄が一切ありません。更に常連は何故ここに来るかと言うとここのママさんのお人柄も気に入っていますから、忙しくってママさんがサービスの限界を超えると、「ママ、良かったら手伝うよ!」なんて言ってカウンターの中に入って手伝ってくれるかも知れませんね(笑)。

これが飲食、外食の生き残り最終形態だと私は思っています。これはあくまでも個人的な意見ですからそう思う方とそうは思わないという方がいて、しかりかとは思います。私が潰れてしまいそうなお店の立て直しの時は以上のお話の中の、無駄なものをどんどん削ぎ落して行く作業から始めます。又カッコつけたサービスも廃止してしまいます。もちろん程度の差こそあれ必要なものは残しますが・・・。

又異業種から参入するオーナーは自分のこだわりがありますからこれを徹底的に改めて貰わないと改善は進みません。更に調理人という方々もこだわりが強い訳であります。手間暇、時間をかけたものが良いと思っている方は、★付きのレストランにでも行って下さいと願っています。上手に完全調理品(完調品)にひと手間加える技術と柔軟な発想が必要です。オーナー、調理人に分かって頂きたいのは今が崖っぷち、オンザウェッジという事なんです。

例えば、もう潰れる寸前なのに、お手洗いの洗剤は500mlで、4.000~5.000円する高価なものは必要ありません。

感覚が飲食で儲けるというモードに入らない訳です。教えても実行して頂いた方しか生き残れません。生き残ったら、いや、継続が可能の兆しが見えてから今度は良いもの、やってみたかったことを付け加えて行けば良いのです。

それまではまずは削る作業が先です。

又今は便利な時代でスマホがあれば殆どの情報が手に入ります。必要な情報は何か?などと考えていたり咀嚼する必要はありません。情報は只々、浴びて行けば良いのです。シャワーのように浴びる、それを長期にわたって行うと必要なものとそうでないものは自然に分かるようになります。

世の中のは本当に頭の良い方達がいて、どんどん先へ先へと進んでいます。今日のことは明日にはもう通用しない事柄も沢山事象として現れてきます。こだわりは捨ててどんどん前に進まないといけない時代なのです。私も身に染みて分かってきましたのでこうして記しています。

又更にこのことは、この業界のみならずどの業界にも言えるとも言えます。

ある著名な方は、この対応力のことを「多動力」と呼んでいました。

特に異業種から外食、飲食産業へ進出した方、ご自身のお店、潰したくないですよね!片手間や憧れだけではこの業界きっと厳しいです。

 

by ニール