NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

ワインバトラー・ニールのライフワーク Part 14

チップ

   『チップ』

 

私がホテルに入社した頃は丁度、バブル期真っ最中でした。横浜のホテルに2年、それから東京のシティーホテルに移りました。

ソムリエとしては1986年から業務に就きましたが、ソムリエはあくまでゲストと接する時は個人的に一対一になることが多いのでレギュラーカスタマーが出来ます。レギュラーカスタマーは特別顧客なので、チップも弾んでくれます。皆さんは信じられないでしょうが、その頃で少なくて1万円~5万円は頂けました。

レストランではスタッフがハウスルールを決めて、チップはそのレストランのマネージャーが徴収し、スタッフの婚礼の電報代金や忘新年会費用に使ったりします。また複数のレストランバーがありますので管理部門の料飲オフィスに月に一回、1万円を上納金として納めます。これはオフィスはチップは貰えないのでオフィスがやはり婚礼電報や諸々費用を使いますから必要な訳であります。私の勤務していたホテルは9つのレストランバーがありましたので月に9万円が、オフィスに上納金として徴収されます。ところがソムリエは9つのレストランバーの何処にでもゲストに呼ばれれば行くのでそういう風に貰ったチップは個人的なものとして頂いていました。以前にも少し記しましたが、東京湾花火大会に席を取って欲しいと顧客に間際に言われ、ラウンジのマネージャーの相談したらちょうど空きができたとのことでしたので、ご用意させて頂きましたら、ご来店されたときにすぐに、「ありがとう!」と言われチップを5万円頂きました。そんなご時世だったんです。1986年~70年代は良かったのですが、それ以降はバブルが弾けましたがやはりチップを頂けるゲストというのはバブルは余り関係ないのです。

ところが、ホテル業界全体としてはバブルが弾けたら客足はやはり減りましたことは事実であります。そして面白かったのは、結婚式特に披露宴をレストランでやるというゲストが増えて、ホテルの宴会場より若干安い、こじんまり済ませたい方のニーズが沢山あり、6月は土日は、レストラン婚礼で埋まりました。ゲストからすれば、ホテルの様なステイタスのあるところでやりたい、しかし高い。こじんまり親族で、また本当に親友だけ呼びたいというニーズに合致したので夜の営業の前に披露宴をやり、それが終わったら、かたずけ(=業界用語でドンデンといいます)してディナーをやるということが当たり前になりました。今考えてみると、ジミ婚の一歩手前みたいな感じですかね!

そのころ、異動がありレストランのマネージャーが、言葉は良くないですが、お金に対して執着心の強い方が着任されましたので、それは大変なことになりました。

Oさんというマネージャーでした。レストラン婚礼は先ほども申し上げました通り、かなり安く納まりますので、チップをたいそうな額を頂けるのです。私達は婚礼は、宴会サービスがやるものでしたから全くの無知でしたが、写真室への案内、親族紹介、会場案内、介添え等の引き回しをいつもそのOマネージャーが行っていましたので気が付かなかったのですがその、引き回しの際、心付けとして5~10万円単位で頂いていたのでした。それはチップですから当然、先ほどのように使用するかと思いきや、全部自分の懐に収めていました。それはOマネージャーが病気で休んだ時、アシスタントマネージャーのS君が代行でした時、10万円頂いたので、「ソムリエさん(当時婚礼の時は3人ヘルプしていました)に5万円持っていって下さい」と言われ頂いたので、じゃあ、いっもはどうしているんだ?となって発覚したのです。それから必ず引き回しはОさんがずっとやっていました。

面白かったのは、やはりもらえる時ともらえない時があるようで、もらえた日は、ルンルンで最後の最後まで新郎新婦のケアーは怠りません。しかしもらえない日はあっさり最後までケアーしません。

スタッフのみんなは、「あ~今日はもらえたな!」「あ~今日はもらえなかったな!」とわかる位です。

レストラン婚礼は当時本当に人気で、年に何回もありましたので、ざっくり計算したスタッフが、「年収の他に150万は懐にいっているな!」などとささやかれ始めました。もうそうなると嫌われ者まっしぐらです。何しろお金がからんでいますから。車も中古でポルシェと新車のビートのを2台、乗り分けていました。時計も●○社の物にいつの間にか変わっていました。分かりやすいですね。仕事はスタッフとやります。当たり前ですね。また、ホールだけでなく、調理場、ソムリエ、洗い場までいるのです。

しかしながらみなさんは黙認せざるを負えなかったのです。何故なら、Оさんは当時の総支配人のお気に入りだったのです。

外国ではチップは個人のもので当たり前かと思います。しかし日本のホテルの場合はチップの代わりにサービス料というものがあらかじめ入っていますのでチップという概念に対しては様々な物議をかもします。誰も触れたがりません。

ある時、ホテルの役員Sさんの紹介で、Mさんという方のお嬢様のレストランでの婚礼を賜りました。婚礼は無事に終わりました。Mさんはホテルの顧客でもありました。数か月後、MさんがSさんにこう言ったそうです。「婚礼も無事終わり、担当のマネージャーに皆さんで飲み会とかで使って下さいと謝礼で10万円渡したのに、あれから何回かレストランにも行ってもスタッフにお礼の一言も言われないのだが・・・?」と。Sさんとレストランバーの部長は懇意にしていましたので部長の耳に入りました。部長はレストランスタッフにヒアリングをかけてくれました。マネージャーにも問いただしました。レストランのチップ台帳を見せなさいと言って調べたらほとんど入っていませんでした。

レストランのマネージャーは、異動となりました。

チップはどう扱うのか、またどのように考えるのかとても難しい問題ですから何とも言えませんがハウスルールは法律ではありません。自己申告制です。又貰ったのに「貰わなっかった」と言えばそれまでです。顧客に聞き返す(笑)わけにも行きませんから。上記のようにバレてしまうと隠せませんが。

今、宴会ではチップを頂いたらどんな風に処理されているのか調べることが出来たら面白いのではないでしょうか?

レストランに所属しているという意識からそこを自分が所有しているという意識に変わった時、スタッフが一丸となってという共同性は排他性へと移行します。つまり「つながりを持てることがお互いの喜びだったはずなのに、どこまでが仲間かという線引きが始まってしまう。」のです。皆さんはどう思われますか?

 

 

「雛まつりとワイン」

3月と言えばひな祭りですね。通常は料理に合わせるワインということを考えますが、今回はシーンに合わせるということで少しお話したいと思います。過去、私の上司だった方にソムリエコンクールで優勝した、つまり日本一になったTさんがいます。私の最高は5位でしたが。そのTさんはワインセミナーをやると比較的、感性に訴える表現をしていました。例えば、「ワインの味わいはその土地柄の個性が反映されます。私は新宿生まれの新宿育ちですから、ガサツで野暮な訳であります。」とか、「これは、味わいに趣深さを感じるので夜に飲むワインです。」とかです。ちょっと解釈が難しいですがワインを少し知った方ならば何となくわかるなぁ~という感じでこの微妙さか良いのです。そんな捉え方もあるということです。それでひな祭りに飲みたいワインと考察してみる時、イメージはピンク、お祝い、女の子、あられ等からワインを類推すると、ピンクのロゼシャンパンでやや甘いものでしょうか?

「ピンク→ピンク、お祝い→シャンパン、女の子→やや甘いワイン、あられ→泡」とこんな感じかと思われます。どうでしょうか?賛否両論あるかと思いますし、こじつけにも感じますか?

では、また。

 

By ニール