ワインバトラー・ニールのライフワーク Part ⒑
真実誠

11月の第3木曜日というのは、ワイン業界ではボジョレーヌーヴォーの解禁日として知られており
現在では業界のみならず、広く世間に認知されているかとは思います。
私が30年前ソムリエを始めたころ正確には32年前ホテルに勤務したころは、ホテルやレストランでしか提供されていませんでしたが、現在ではコンビニでも買い求めることが出来るようになりました。
時差の関係で日本が一番最初に解禁になることもあり、現在でも人気はあるかと思います。
しかしながら著名なホテルのレストランや★付きのレストランでは、普段、セールスしているワインの方がワインとしては単価が高いので、その時期はボジョレーが売れてしまうと売上が下がってしまうので、現在では、有機栽培を使用したもの、無濾過のもの等比較的、手を加えて造られたボジョレーを仕入れて若干、単価を上げてセールスしているところも少なくありません。
ところで皆さんは毎年、このボジョレーヌーヴォーの販売時期になると気になることはありませんか?
今でも聞かれますが必ずといって良い程、「今年の出来はどうですか?」という質問です。
例年、各社、決まって「はい!とても良い年で出来が物凄く良いです!」と答えています。
年というのは専門用語で「ヴィンテージチャート」としてまとめて出されていますが、それを見るとボジョレーヌーヴォーはもちろん、フランスのブルゴーニュ地方ボジョレー地区で収穫されたガメイという葡萄品種から造られますが、ヴンテージチャート(葡萄の出来を例えば5段階評価で示したものあるいは20段階のもと色々あります)を見ると、ボジョレー地区も毎年平均して良いもののやはり上下、波がきちんと付いています。すなわち、良い年もあれば悪い年もある訳ですね。
それなのに、ボジョレーヌーヴォーだけ何故か「毎年、良い?出来」なのでしょうか?
これは売り手側が、新酒ということもあり早くに売りさばいてしまいたいというマーケティング戦略が働いていることと、ボジョレーヌーヴォーがマセラシオンカルボニックという製法を用いて造られていることの2つに起因しています。前者は宣伝し早めの完売を、目指すため、「良い出来」といううたい文句を使うしかありません。またそれしか思いつかないのは残念ですが、著名なソムリエまで引きずり出してとにかく、即完売を目指す訳です。
後者は葡萄果実の熟度よりも(出来具合)、葡萄の粒を選ぶ(選果)してタンクで炭酸浸漬すれば差ほど味わいには差が出ないという利点もありますから、「良い出来」としての一言でまとめ上げることが出来ます。いわゆる、不作と言わないくらいの平年並みの年なら技術でカバーしてしてしまう訳です。でもそうするとその裏側を消費者は知らない訳でありますから、毎年毎年「良い年」という一言でかたずけられて何も伝わっては来ません。
花から美という真実受け止める少女 秋を訪れるコスモス
例えば、こんな言い方でも良いのではないでしょうか?
「今年のボジョレーヌーヴォーは葡萄の出来はそこそこ良かったものの収穫後のフレッシュ感は維持できていましたので、例年よりもやや酸味が効いて飲みやすく仕上がっています」か。
何故、都合が悪いことは隠して真実に沿った表現で勝負できないのでしょうか?
答えは簡単です、余ったら困るからです。これでは本当の説明になっていません。真実という事実が隠蔽されてしまっている訳ですね。
もう10年以上も前に恩師(仙人)とボジョレー・ヌーボーを飲む機会がありました。その時に『このワインは薬を使わないから好きだよ』とおっしゃって美味しそうにハムと召し上がられていたのを思い出しました。
少し話題がそれますが・・・。
又その頃だったか24時間テレビの話をして頂けましたのを思いだしました。
意味ありげな話ぶりで『キンちゃん』は凄いことをしたんだぞと。あのチャリティー番組でやったキンちゃんの真実誠の行いは世の為他人の為にやったことでその尊い行いは無形財産となってキンちゃんにつくのでキンちゃんは一生食うに困らない立場になるんだよと。
この話はその時には良く理解できませんでしたが、、、と言うのはキンちゃんの事しか言及しなかったので、チャリティー番組の内容やほかのスタッフのことには何も触れなかったからです。
月日は流れます。相変わらず夏の風物の様にその番組は続いていますがつい最近、百田尚樹さんの著書『カエルの楽園』を読みましたが続いて新潮新書から出版している『大放言』を読み腰が抜けるような衝撃を受けました。
『第三章、これはいったい何だ、P 135~142 チャリティー番組は誰のため?』をご一読下さい。
今年はビートたけしさんもこのことに言及してましたが、私も含め本当に世間知らずで恥ずかしく思いました。
都合の悪いこととは皆、隠蔽されてしまう。
マスコミとは怖いものだと実感したのと同時に故人となった恩師(仙人)はキンちゃんのことを、そこまで見抜いていたのかと。
恩師はこうもおっしゃっていました『歴史でもそうだがその時代を必ず自分達が都合の良い様に過去の歴史なども書き換えられてしまうので信用は出来ないのだよ、でもね、そういった隠蔽されたり書き換えられたり、自分達の都合の良いようにしても反対に眼光紙背に徹するものが現れて必ず真実を暴き世間に伝える者が現れるのだよ』と。
ご興味のある方は『大放言』をお読み下さい。
話が、反れてしまいましたが、前半で記したことも同じようなことがいえるのかなとも思えました。
まぁ一年に一度のお祭りのようなことですから目くじらを立てるほどのことではありませんが。
ちょっと気になったので記しました。
私の住む箱根は秋の気配が近づいて来ました。
今月のワインバーT
自家製チャーシュー
写真は神田神保町にあるワインバーTの名物?自家製チャーシュー。店主の気まぐれで作る?いつもあるとは限らない?(笑)是非お店に問い合わせを!チャーシューはやはり素材がポークなので軽めの赤ワインが良いかなと思われますが実はその作り手でスモーキーさや香辛料で味わいが深いものになりますから一概にこれとは決めつけるのは危険です。ここのチャシューはしっとりした仕上がりと店主がソムリエ経験豊富ですからなにかしらの隠し味が加わっています。香辛料が強い場合などは、フランスのローヌ地方のシャトー・ヌフ・ドュ・パープがお勧めです。このワインは法律上13種類の葡萄品種を使うことが許可されており、各社の方針でその味わいが決定されますが土壌には大きな石がゴロゴロして日中の強い太陽の日差しから熱を吸収し夜の保温効果がありますので、スパイシーで独特なワインに仕上がります。是非試して見てください。このワインを昔、ブラインド(目隠し)で当てっこをしたとき、ここの店主はズバリ当てたワインです。思い出しか?ツムリエ君。商売繁盛祈念しております。箱根の空の下から。
ワインバトラー・ニール