NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

ワインバトラー・ニールのライフワーク Part 1

ワインのスタイル

ある日のこと、女性の部下のスタッフに(ソムリエ資格あり)、こんな質問をしました。

「この白ワインをゲストに薦めるとして、どんな風に説明している?」と聞きましたら「エレガントでビロードの様な舌触りです。」と答えました。
私はすぐに、「それではゲストに対してワインの説明になっていないからダメ!」と言いました。


何がダメなのかというと、「具体的な表現を使っていない点である。」と言いました。辛口なのか甘いのか?または酸味はどんな感じなのか?アルコール感は?料理との相性は?と短い時間の中でこれを一気に説明しないといけない。
例えば、「このワインはシャープな酸味が持ち味で軽快な辛口、アルコール感は余韻の中に微かに熱感となって残りますから、野菜のアスピック(ゼリー寄せ)や白身魚のカルパッチョに合いますよ。」のように説明しなさいと指導しました。


「エレガントなワインって?何だと思いますか?ビロードの様な舌触りとは何ですか?」「この言葉はね、最終的に、このワインを描写するときに、まとめるとこんな表現に集約されるという時に使う言葉であってワインをゲストに説明する時の言葉ではないのだよ。」と。
その時、定期的にどんなことをゲストに説明しているのか、チェックしないといけないなと実感しました。

休眠期のブドウの木
休眠期のブドウの木

また「短い時間の中でこれを一気に説明しないといけない」というのは、暇なレストランならいざ知らず、ある程度忙しいレストランならば他のゲストテーブルも万遍なく回らないといけない。

あるテーブルでゲストに提案して長引きそうであるならばすぐに上手に離れて又伺う、こうした所作が大事になってきます。
ところがそれができないスタッフも中にはいました。

ゲストと一緒にワイン選びで悩んでいる。もうそのテーブルで10分もゲストと、あ~でもないこ~でもないと問答してしまう。

これでは、他のソムリエにもまた食事のオーダーが完了していないゲストのオーダーをとろうとしているホールスタッフにも、そして他のゲストにも大いに迷惑極まり無いのであります。

この手のスタッフは、自分はゲストに対して、自分は良いサービスをしているのだから間違えないとこのスタイルを変えませんでした。何度となく注意してもなおりません。

たわわに実る葡萄
たわわに実る葡萄

またゲストの中には、話好きなゲストもいまして大概は女性スタッフがテーブル回りをしていると話しかけ、テーブルでの会話に引きずり込むタイプも多いのです。

いわゆる、「捕まってしまう」という現象が起きます。
その頃は女性のソムリエが2人いて、一人はラウンジ・バーの配膳スタッフの経験を持ち、ソムリエ
の資格を取った子ともう一人は航空会社のカウンタースタッフの経験があり、ソムリエの資格を取った子と二人でした。
どちらも、それぞれに個性がありましたが特に多忙な時にその差がありありと出ました。
後者の航空会社のカウンタースタッフは、忙しい職場を経験しているので長引きそうなゲストには上手に流してテーブル回りが出来ました。

この辺はさすがだなぁ!と思うところがありました。


前者の子は全くダメで、ゲストに捕まっているのかと思いきや自らベタでついて離れない。
注意もしましたが治らず、レストランのマネージャーからも何度も注意を受けていました。

趣味で始めた家庭菜園
趣味で始めた家庭菜園

ここで重要なことが、一つあります。

それは、どちらのスタッフが、お客さん受けすると思いますか?
実は、前者の子の方なんです。

お客様目線で見れば、ベタでついてくれた方がいいサービスと受け取られますから・・・。
ただ、上記のような問題がついて回りますし、またさらに悪いことには指名されてしまうということが起こり、その子がサービスしてくれないとそのゲストは機嫌が悪くなってしまいます。
クラブではないのですが、そういう現象が起きてきます。
 

どちらのサービスが良いのかというと、後者のサービスの方が理想ですね。

皆さんもお分かりかとは思いますが、職場はチームプレーです。

また、個人としての役割分担がしっかりある訳でありますのでそこを理解しないといけない。
同じワインを注ぐにも、サービスも個々の個性はあって良い、
いやなくてはならない。

絵具の色に例えるならば、チューブから出したままの「青」では、全員がそれを使えば同じ色になる。(マニュアル通り)
赤や黄色をほんの少し混ぜたりすると1010色の青ができる。これが個性。

食べ物だとカレーに蜂蜜を数滴入れて隠し味とする。同じ材料でも工夫次第で変わるのである。

これからワインになるブドウジュース
これからワインになるブドウジュース

逸脱したサービスはこの範疇には、基本ないと考えています。

 

by ニール 2016.2.6 HAKONE