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2015年4月号

日本酒道楽・33 酒好一男

鳳凰美田 純米吟醸ワインセルスパークリング

今月は2本目の原稿となります。

1本目の「新政」と同様、酒好がひいきする銘柄、栃木県小山市の小林酒造が醸す「鳳凰美田」です。

これまで、ワイン酵母を使った「鳳凰美田 ワインセル」のラベルなどで軽く紹介してきましたが、ついにそのワイン酵母を使った「鳳凰美田 純米吟醸ワインセルスパークリング」が登場し、これは読者の皆様に紹介せずにはいられないと急きょ2本目をアップした次第です。

左・ワインセルスパークリング 右・ワインセル

日本酒を醸造する過程で発生する炭酸ガスを活かして瓶詰めしたもので有名なのは「獺祭スパークリング」があります。こちらは通年で手に入る(といってもなかなか買えませんが……)もので、同じ品質で商品化するのが大変難しいと言われています。そこはさすがコンピュータ管理が進んでいる「獺祭」です。

 一方、今回の「鳳凰美田」は、ワイン酵母を使って醸した純米吟醸酒を瓶詰しており、通年商品ということではありません。小林酒造は経営危機に陥っていた時期もありましたが、専務の小林正樹さんが純米吟醸、純米大吟醸をベースとした日本酒の多品種少量生産に切り替えて現在の大人気蔵元に立て直した経緯があり、季節商品が多数発売される蔵元となっています。今回のスパークリングもそのひとつですし、「いちご」や「もも」、「ゆず」などの日本酒ベースのリキュールも季節ごとに発売しています。

こちらのリキュールも大変おいしいので、ぜひお試しください。その果汁っぽさにきっとビックリしますよ。

「獺祭」と「鳳凰美田」で味わいを比べると、前者はいわゆる辛口っぽい後味スッキリ、後者は甘みのある後味スッキリと言った感じでしょうか。やはりワイン酵母が独特の甘みを演出しているような気がします。シャンパンっぽい瓶の「獺祭」に、美しいグリーンの瓶に澱が沈み、グラデーションのようになっている「鳳凰美田」。ほんとうに贅沢な飲み比べです。

左・獺祭スパークリング 右・鳳凰美田スパークリング

蔵元のこだわり

「鳳凰美田」の純米吟醸といえば、マスカット香で有名ですが、瓶裏面の商品紹介ラベルにはこういうことが書かれています。

“お召し上がりになる際は、グラスに注ぎゆっくりと空気に触れさせ常温に近い状態にまで温まりますと、味わいの膨らみ、お米の優しさ、純米吟醸酒だけにしか纏えない香り、甘味、そして雅な質感などもお伝えできるかと存じます”

香り、甘味など、純米吟醸ならではの贅沢さをとことん味わってもらいたいという蔵元のこだわりを感じさせる一文です。

こちらもぜひ試していただきたいと思います。

2016年2月

酒好 一男