NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

編集長 永澤洋児
深江賢に聞く~回顧録スペシャル~
洒落おやじの青春取材記 工藤
特集記事 ANA

2015年4月号

日本酒道楽・21 酒好一男

お燗の酒

こんにちは、酒好一男です。

みなさんは燗酒(かんざけ)にどういう印象をもたれていますでしょうか?

・酒くさい

・飲み口がピリッとする

・おやじくさい(笑)


年配の方はともかく、冷酒に親しんでいる若い人はあまり好みではないかもしれません。


高度成長期の映画などを見ると、登場人物が飲み屋で「一本つけてくれ」などというセリフをよく見かけました。当時の日本酒だと醸造アルコールの配合割合などで、さきほどの印象どおりの燗酒になってしまっていたと想像されます。

しかしながら当時は大量生産時代。「剣菱」や「松竹梅」「月桂冠」を冷やではなく、おかみさんや奥さんにひと手間かけてもらった「燗酒」を愉しむのが、お父さんのちょっとしたぜいたくだったのです。

ちなみに、燗酒の歴史をひもとくと、古くは万葉集にその記述があり、平安時代には延喜式など祭礼で行われたりしたようですが、瀬戸物が普及した江戸中期ごろから一般の人々もお燗を愉しむようになったようです。

燗酒専用の獺祭

獺祭50 温め酒 純米大吟醸
獺祭50 温め酒 純米大吟醸

話をもとに戻して、このコラムでも紹介してきた酒蔵の酒でも「お燗用」と銘打ったものが出ています。

たとえば、二割三分、三割九分と米を磨いた大吟醸酒で人気の「獺祭」にも「燗酒用」の製品があります。

獺祭50 温め酒 純米大吟醸

50%の精米歩合で、通常の獺祭の製法とは異なる造り方で、お燗に合わせてまるみとふくらみを味わいの中心に据えて醸成した、お燗のできる吟醸酒。45度位で飲むのがお勧めということです。

 

もちろん常温で飲んでもおいしいです。


広島の銘醸「賀茂金秀」。やっぱりお燗!

お燗をすると、甘み、苦み、渋みが弱くなり、酸味が旨みに変わります。乳酸やコハク酸、アミノ酸など日本酒の旨みが増していくわけです。

純米大吟醸など、お燗にするともったいないという人もいますが、値段が高くなればなるほど、乳酸菌飲料のようなイメージが強く出てきます。香りもまろやかな酸味を感じ、飲み口もやわらかくなります。

もちろん、「熱燗」、「ぬる燗」、一度「熱燗」にしてから「ぬる燗」の温度まで下げたりしても味わいは変わります。それぞれ自分好みのやり方を試してみるのもおもしろいものです。

アルガブランカ・クラレーゼ
アルガブランカ・クラレーゼ

今年酒好が選んだのは、明治13年創業、広島県金光酒造の「賀茂金秀 純米 やっぱりお燗」。

もともと「桜吹雪」という銘柄を醸していた蔵でしたが、今年40歳になる5代目社長の金光秀起氏が自分の名前の金と秀をとってつけた自信作「賀茂金秀」シリーズの季節限定銘柄です。品質重視の少量生産で吟醸酒を醸している酒好注目の蔵です。

賀茂金秀はこの連載でも「第13回 低アルコール度の日本酒」で紹介しています。原酒なのに13度という、ある意味革新的な製品に挑戦している姿勢にはつい応援したくなりますね。もちろん味も保証付きです。

もう春の声も聞こえてきましたが、たまにはお燗をつけてゆるりと愉しむのもいいですね。 酒好一男でした。 

編集長
さて、酒好さんはお燗の温度はどのくらいなのがお好みですか? 次の飲み会では、お燗でゆるりといきますか?。