NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

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2014年10月号

日本酒道楽・酒好一男 第14回

ひやおろし

こんにちは酒好一男です。

日本酒がおいしい季節になりましたね。

そんな時期に店頭に並ぶのが秋季限定商品の「ひやおろし」です。 

江戸時代、冬にできた新酒が劣化しないよう春先に火入れ(加熱殺菌)した上で大桶に貯蔵し、ひと夏を超して外気と貯蔵庫の中の温度が同じくらいになった頃、2度目の加熱殺菌をしない「冷や」のまま、大桶から樽に「卸(おろ)して」出荷したということが語源となっていて、それが大桶がタンクや瓶に代わった現代にも通じているということです。

涼しい場所に保管をしていても、外は真夏の暑さ。冬場よりは早く熟成が進み、秋になるころには最高の出来になっています。

ちなみに、現在では7月1日から翌年6月30日までとなっている酒造年度は、昭和39酒造年度まで、「101日から翌年9月末日」と定められており、蔵元では10月1日を「酒造元旦」として祝っていました。その経緯から、今では「日本酒の日」とされていて、そのなごりで山口県「長陽福娘」や「貴」のひやおろしなど、101日に販売を解禁するような日本酒もあります。

今回ご紹介するのは10月1日解禁ではない2本。

まずは山形県、江戸時代「西の堺、東の酒田」とならび称されるほどの繁栄を誇った港町を代表する酒蔵、酒田酒造の「上喜元」特別純米 きもと造り 美郷錦 氷温貯蔵 ひやおろし。

上喜元


本来は約半年ほどの低温(常温)熟成で蔵出しされることが多い「ひやおろし」ですが、酒米の美郷錦の味わいを引き出すため、氷点下温度で1年熟成、今年の春からは低温熟成で一年半貯蔵したものです。

美郷錦は秋田県農業試験場で、「山田錦」に「美山錦」を交配させたもので大潟町でしか栽培されていない酒米で、さっぱりした甘みがどんな肴にも合います。

白岳仙


もう1本は福井県、安本酒造の「白岳仙」純米 ひやおろし。

創業嘉永六年(1853年)という老舗で、生産石数500石の少量生産。手造り・手作業による、妥協を許さない酒造りを行っています。

滋賀県の酒米「玉栄」を使用し、こちらはひと夏を越えてきた結果の甘みと旨みが混在する、酒好一男が愛してやまない「白岳仙」が醸す一本です。
 今しか飲めない「秋あがり」「ひやおろし」など、夏を越した旨さを味わったあとは、これまた楽しみな新酒が酒好きな人々を待っています。