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2015年5月号

日本酒道楽・37 酒好一男

下町ハイボール

こんにちは酒好一男です。

今回は、私の住む東京のはずれ、いわゆる下町の酒についてのお話です。下町といえば、みなさん何を思い浮かべるでしょうか?

「寅さん」「浅草」「向島」といった感じでしょうか?

 

もともと下町とは城下町のことなので、神田界隈のことを指す言葉でしたが、それがだんだんと東に移っていき、浅草から隅田川を越えて深川、門前仲町といったところを指すようになりました。その後、山田洋次監督による「寅さん」シリーズで、なぜか柴又が下町の代表みたいなことになってしまいました(笑)

 

吉田類の「酒場放浪記」などに始まる居酒屋ブームで京成立石が脚光を浴び、「下町飲み」として土日は観光地のような賑わいを見せているのもおもしろい現象です。

三重県の焼酎なのに下町ハイボール

そんな下町飲み流行りの昨今ですが、下町といえばホルモン焼きと下町ハイボールです。下町ハイボールにつきものの焼酎と言えば「キンミヤ」です。大メーカーの「大●郎」や外国製の「JINR●」などもありますが、やはりここはキンミヤが外せないところです。きれいな青地に金色の亀甲宮、和風レトロなラベルが爽やかな印象を与えます。

 

もともと「亀甲宮焼酎」という名前ですが、キッコーミヤがなまったのでしょうか、通称で「キンミヤ」と呼ばれています。

甲類なので基本的にクセはありませんが、さとうきび糖蜜を原料にしていて、使用水のせいもあるのか、ほのかな甘みを感じます。下町ハイボールでは、これに冷えた炭酸水を加えます。氷は酒が薄くなるので入れません。黄金色のエキス(梅エキス)を加えるところもあれば、そのまま何も加えずに出すところもあります。キンミヤをジンジャーエールで割る下町ハイボールもあり、何で割ってもイケる、ということですが、共通しているのは氷を入れないところです。呑兵衛用の酒ということですね(笑)

 

炭酸水は基本的に強炭酸のものがおすすめです。下町では「アズマタンサン」(墨田区)「ニッポンタンサン」(葛飾区)など、地場産業っぽいメーカーのものが多いです。

そのように下町ハイボール御用達の「キンミヤ」ですが、実は三重県の宮崎本店が造っている甲類焼酎なんです。四日市市に流れ込む鈴鹿山系の伏流水で仕込む清酒「宮の雪」から始まった蔵ですが、創業170年の歴史があり、「宮の雪」も「亀甲宮」も屋号の宮崎の宮を取って名付けられたようです。

 

ホッピーにもよく合いますが、夏には「キンミヤ」を冷凍庫でキンキンに冷やして、強炭酸水だけで割って暑さをしのぐ。そんな飲み方をしてみたいですね。値段も安いので、懐を気にしなくていいのもありがたいお酒です。

酒好 一男

2016年5月31日