匠の技、ルーヴァー 7
オーソドックスを知る匠の技
洋服屋・五十嵐 司

服のオーダーメイドが変わった。
20世紀には、街に「洋服屋」が多く存在していた。
正統を知る大人たちの「服装術」を満足させてくれる、「作り手」技術を持ち、その人に合った「正しい服」「美しい服」「オシャレな服」「自分だけの服」大人の満足がそこには存在していた。
しかし現在はない、街を歩いていても「洋服屋」にお目にかかれない。
大学を卒業して社会人の門をくぐる、その象徴が「背広」だ。
定番スーツを作り、着る、嬉しさが始まる。
そのためにあるのが「街の洋服屋」、服の匠の技が光るときだ。
しかし現在は、その姿はない。
いま、洋服の本質を語るつもりはない。
ただ、洋服の専門家が少なくなっていることを語りたい。
服屋と自分、いずれオーダーをして服を創ることを覚える。
「オーダー・メード」の世界だ。
大人になる上での通過点が「オーダー・メード」、「正しい服」に到着していく。
服の「匠」の技を持つ一人の洋服屋がまだ存在している。
南麻布・「アトリエ・ルーヴァー」50年近くこの場所で「服」の正統を守り続けている。「匠」の服は「正しい服」の伝統、いまも守っている。
プレタポルテの流れが、男たちの視点が変わった。
アルマーニ、ヴァレンチノ、ヴェルサーチ、などイタリアの紳士服の潮流が支配して、いつの間にか「男の正統」が廃れてきた。
現在も、「オリジナル・オーダーメード」服は無くなったように思える。
「古さ」や「伝統」ではない、オーダーメードは服はこうあるべきだというテイストを守ってきている。
今こそ、遊び心が服に表現さるべきだと信じる。
それこそが「オーソドックスの服」そのものだ。
いまこそ、「匠」に自分のスタイルを任せてみるときではないだろうか。
企画・取材・写真・nagasawamagazine・編集部