NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

作曲家・鈴木 邦彦  2

ジャズピアニスト

1968年、鈴木邦彦は歌謡ポップ「天使の誘惑」でレコード大賞に輝いている。

この曲は歌謡曲というより、アメリカンポップに近い流れの曲だ。

演歌という歌謡曲を新しい感性でその時代に沿った曲の始まりが「天使の誘惑」だろう。新しい日本のポップ歌謡曲の始まりになったといっての過言ではない。この曲の作曲家鈴木邦彦のもう一つの顔を覗いてみよう。

根底に流れている音楽

慶應ライトライトミュージックソサエティー
慶應ライトライトミュージックソサエティー
作曲家・鈴木 邦彦
作曲家・鈴木 邦彦

慶応大学にはライトミュージックジャズソサエティーというジャズオーケストラがある。1946年創立という由緒あるジャズサークルだ。

 

多くの著名人が在籍していた。

村井邦彦、北村英治、本多敏夫、大野雄二、など、など。

鈴木邦彦は、そこでジャズ音楽に嵌っていった。当時六大学ジャズコンサート(慶應、早稲田、明治、法政、立教、東大)が盛んにおこなわれていて、その華麗で、若々しいサウンドは多くのジャズファンに知られていた。

当時の時代背景を簡単に書いておく。

1950年代まだ、日本の経済は世界に届かない未熟さだ。

しかし、国内は明るい未来に向かって走りだしていた、経済の右肩上がり、オリンピックも開かれる、そして、自由は若者に与えられた特権だ。

その勢いは自分たちのカルチャーを創り上げていった。

その一つが新しい音楽、ジャズだ。

 

学生たちが音楽を身近に感じ始めた。

六大学ジャズコンサートを始め、多くのジャズバンドが世にあふれていた。

当然若者たちは楽器を手に入れ、自己流で覚えていった、そして仲間を作り演奏に参加、それが、グループとなり各地での演奏会に広がっていったことが後のジャズ喫茶に繋がっていく、いまの、ライブハウスだ。


そのあたりの時代を細かく語れば膨大な長さが必要になるのでここでやめておくが、音楽としてのカルチャーに若干触れておく。

1950年代は小さなジャズグループが巷に溢れ、ジャズ喫茶は連日若ものたちのたまり場になっていた。当然鈴木邦彦はここでアメリカが生んだ偉大な音楽、ジャズに嵌っていく。才能にあふれ、心にジャズのエキスを吸い込んだ鈴木邦彦は、たちまち、時代の寵児となっていく、エリートとして大学を卒業したら世に躍り出て、新しい日本経済人の一員としての活躍を約束されていた邦彦だったが彼は別の路を選んだ。それが、ジャズ音楽だ。

熱に浮かされていく若者特製の病だ。ジャズを楽しみ青春を謳歌していた。

そして、ポップ歌謡を作り始め,ある種の悩みを感じ始めていた時に一人の音楽関係者に言われた言葉がある“君は今の時代の音楽を作り出す才能がある”この一言が、鈴木邦彦のその後の音楽人生に繋がる。


ポピュラーソングの根底にはJAZZがあった

そして同時に大きなターニングポイントなったのが、作曲家、編曲家、ジャズピアニスト中村八大との出会いだ。

作曲者として「上を向いて歩こう」(1961年)永六輔が詩を書きその後誰もが知る坂本九が歌った世界の歌を生んだ。そして多くのヒット曲を生み出していく。

偉大な中村八大との出会いが、鈴木邦彦の音楽人生に大きな刺激を与えた。

ポップ音楽とは作曲、編曲そのすべてを教え与えてくれた。

生涯の師と仰ぐ中村八大に出合い教えを受けなければ、彼の歌謡人生は生まれなかったといってもいいだろう。

その後鈴木邦彦は作曲者として、多くのポップ歌謡を生み出していく。

1967年ジャガーズ「ダンシング・ローリー・ナイト」を生み出す。

メロディの流れがジャズ感性と相まって、日本のポップ歌謡に新しい風を送り込んだ。ゴールデン・カップス「長い髪の少女」は彼の音楽のベースとなる。

黛ジュン、西城秀樹、フォーリーブス、奥村チヨ、水前寺清子、森田健作、和田アキ子、伊東ゆかり、森進一など、数えきれない数の歌謡ポップを多くの歌手たちに歌を提供してきた。

高倉 健も彼の曲をレコーディングしている。

そして、すごいのは、日本では無理とされていたミュージカルを作曲,日生劇場で新しい境地を開いたことだ。 21世紀のいま、鈴木邦彦のポップ歌謡が新しい歌手たちにカバーされている。

2013年・坂本冬実アルバム「Love Songs Ⅳ」に「天使の誘惑」「酒場にて」「北国行きで」3曲がカバーされている。

2014年・中森明菜アルバム「ALL TIME BEST COVER」の中にも何曲かが。

2014年・天童よしみアルバム「昭和名曲歌謡」の中心曲として歌われている。

鈴木邦彦が、いま、輝いている。

5月からスタートしたラジオ日本

「鈴木邦彦の音楽アラカルト」 毎週月曜日~金曜日 朝5:25~5:30 ラジオ日本 (AM1422kHz) 公式サイトはこちら>>早い時間ですが、ぜひ、お聴きください。

Nagasawamagazineは、20世紀の日本のポピュラー音楽に21世紀に繋がる新たにポップミュージックを創り上げた多くの作曲家たちを取り上げていきます。

ご期待ください。

企画・nagasawamagazine・5月3日