NAGASAWA Magazine|ながさわマガジン

ロッド・スチューワートに乾杯

Roderick David Stewart

 

「ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック」

 

THE GREAT AMERICAN SONGBOOK

 

VOL 1 "IT HAD TO BE YOU" (2002)

VOL Ⅱ "AS TIME GOES BY" (2003)

VOL Ⅲ "STARDUST" (2004)

 VOL Ⅳ "THANKS FOR THE MEMORY" (2005)

 VOL Ⅴ "FLY TO THE MOON" (2010)

 

僕はロックファンではない。

勿論、ロッド・スチェワートのこともあまり知らない。

1970年、1980年代を中心に活動したロック・シンガーだと、理解している程度だ。

全英チャートの一位を記録した”セイリング”、数多くの女性スキャンダル、派手な生活もあって軽薄なイメージが浸透してしまった感が強いが、それでもソールフルなロックシンガーだと認識している。

また、多くの大ヒットを飛ばした事は僕の脳細胞が認めている。

僕はロッド・スチュアートに、それほど興味はない。

7,8年前に、HMV店頭で盛んに・ロッド・スチェワートの渋い歌声を聴いた。

20023,4,5年に出した懐かしのポップCD「ザ・グレイト・ソングブック」シリーズだ。

2002年発売のCDはグラミー賞獲得という、興味が沸いた。

早速「ザ・グレイト・ソングブック」シリーズ、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、を買った。

聴いた、見事に嵌った。

 

僕は世代としては、団塊世代に近い、昭和を青春した。

完全にアメリカ文化に慣らされて育った、勿論、音楽もだ。

学生時代、アメリカから入ってくる文化、(音楽を含めて)は圧倒的な勢いで若者を攻め立てた。中でも音楽は、ジャズ、ロック、を含めたポップの世界だ。

しかし、レコードは輸入版が主流。譜面、歌詞カードは無かった。

レコードから聴き写し取った記憶がある。勿論完璧ではない。

青春の一ページは、アメリカポップで染まっていた。

当時、特別なレコード店に、アメリカ「ジャズ1001楽曲集」(ALL HIT 1001 SONGS)なる楽曲集があった。輸入品だ。ポピュラー楽曲、1001が集められた譜面、歌詞が付いた優れものだ。(当時のミュージュシャンたちのバイブル的な楽曲集であったといわれていた。)

 

5枚のCD「グレート・アメリカン・ソングブック」内で、

ロッド・スチェワートが歌っている楽曲の殆どが「ジャズ・1001楽曲集」のなかに収められている。

 

まず、

グラミー賞受賞(2002発売)「グレート・アメリカン・ソングブック」Ⅰを聴いた。

タイトル曲、”IT HAD TO BE YOU、しっかりした、ジャズ・スタンダードだ。

YOU GO TO MY HEAD””THESE FOOLISH THING””MOON GLOU”などのは「ALL HIT 1001 SONGS」に書き収められているジャズナンバーだ。

ロックシンガーとは思えない、軽い流れだ。

悪くない。原曲を壊さないアレンジがいい。

 

つづけて、

2003年発売「グレート・アメリカン・ソングブック」Ⅱを聴く。

タイトル曲”AS TIME GOES BY"だ。

おいおい、僕の好きな曲だ。ハンフリー・ポマード、イングリット・バークマン、主演の映画「カサブランカ」挿入曲、口すさんでいる僕がいる。

そして、”TIME AFTER TIME""I'M IN THE MOOD FOR LOVE""WHERE OR WHEN"と、僕の記憶を掘り起こしてくれる。

突然、チャップリンの名曲”SMILE"だ、この曲も僕のお好みの一曲だ。

"OUR LOVE IS HERE TO STAY"などが、僕の身体に迫ってくる。時代が逆戻りした瞬間でもある。当時の映画で使われていた名曲のオンパレードだ。

もう止まらない、妙にオールド・アメリカン・メロディにロッドの雰囲気がマッチする。

 

2004年発売の「グレート・アメリカン・ソングブック」Ⅲを挿入。

タイトル曲、"STARDUST"だ。映画俳優でもあった、・ホーギー・カーマイケル・の名曲だ。

歌が変わる、”WHAT A WONDERFUL WORLD"だ。ルイアームストロングのコマーシャルでおなじみだが、まるで曲の雰囲気が違うが聴ける。

懐かしの映画シーンを思い出す、”MANHATTAN"だ。実在のピアニスト・エディ・デューチンを描いた映画「愛情物語」の中の中心曲、デューチンを演じた、タイロン・パワーがピアノを見事に奏でるシーンが印象に残る。昔のニューヨーク・セントラルパークがこの映画のステージだ。(映画のピアノ演奏は、カーメン・キャバリロ)

 

ロッドの軽快な歌がつづく、”S'WONDERFULL"だ。

ミュージュカル映画、ジーン・ケリー主役”雨に歌えば”での挿入曲でもある。雨の舗道でジーン・ケリーが踊るシーンが脳裏を掠める。

ロッドはもう、「グレート・アメリカン・ソングブック」を完全に自分のレパートリーにしている。

曲の持つ物語が浮き上がってくる。

既に、ロッドの手中に嵌っている僕がいる。

 

CDの中身を話したら、止まらないのでこのあたりで、締めます。

 

5枚のCDは確かに楽しい。ましてや、60代以降の人間は余計懐かしさが蘇る。

最高のアメリカの作曲者達の名曲の数々が収められているこのCDは、懐かしさは感じるが、曲すごさを知っている人たちには物足りなさを感じるはずだ。

このCDに収められている曲はアメリカが生んだ偉大な作曲者達のオンパレードだ。

RICHRD RODGERS,IRVING BERLIN,GEORGE GERSHWIN,まだまだ。上げたらきりが無い。

いままで、多くのシンガー達が彼等の名曲を歌い上げ、名盤として残している。

そうした名盤を知っている人たちからすれば、ロッドのCDには問題はある。

その理由は、やめておく。

アメリカン・オールドソング「グレート・アメリカン・ソングブック」が今の人たちに受け入れられたのは、ロッドが自分のスタイルで歌い上げたことだ。

肩に力を入れたわけではなく、軽く流した事がヒットに繋がったのだと感じる。

忘れられいる、オールド・アメリカンソングを思い起こしてくれたロッドに僕は感謝の気持ちを送りたい。

軽く謳われては面目が立たないという人もいるだろうが、それより、素晴らしいいい曲の存在を教えてくれたロッド・スチェワートに拍手だ。

 

トニー・ベネットが、このCDを聴いてコメントしたと伝えられてるフレーズがある。

”確かに上手いが、だが、歌に心が入っていない、だから僕は認めない”そう思う人がいても不思議ではない。何となく理解できる。

 

そして、5枚のCDのすごいところは、ロッドを支えているバックミュージュシャンたちだ。

通常、レコーディングは、フルオーケストラ、プラス、ストリングスという構成で編成されているいるのがノーマルだ。

勿論、ライブでの収録は別だが、大スターならバックミュージュシャンを特別に選ぶ。

アレンジも当然だ。

しかし、今回、ロッド・スチェワート「「グレート・アメリカン・ソングブック」は、全てのシリーズ(シリーズⅤだけが少し編成を変えてきている)のバックミュージィシャンはドラム、ベース、ギター、ピアノが主軸だ。勿論、曲によって、様々な奏者が加わる。

多分、お金を賭けないのではなく、ロッドの意向だったのだと推測する。

原曲に忠実に、素直に歌を歌っていることに敬服する。

アレンジも、シンプルさに終始している、それが返ってロッドの歌の雰囲気を盛り上げている。メロディーラインを正確に捉えたロッドの歌唱力も凄いが、バックミュージシャンの存在も忘れてはいけない。

 

それにしても、このロッドのCDは嬉しい

Ⅰ、Ⅱ、 Ⅲ、 Ⅳ 、Ⅴ、シリーズを作った、ロッド・スチェワートの試みに、僕は感謝と、勇気を認める。

 

既に、この中に使われている多くの懐かしの楽曲は忘れられているのが現実だ。

それを、掘り起こして、新しい音楽として表現してくれた事は素晴らしい。

この5枚のCDは発売され、時は経っているので、なかなか見付らないが、団塊世代、もう少し年代の人たちは、絶対お買いになるべきだと僕は信じます。

車のなか、一人で寛ぐとき、愛する人とワインを傾むけながら、過ぎた日々を語り楽しむ材料にはなるはずだ。そして、中年、若者も、新しい音楽として、ぜひ聴いて欲しい。無理とは云わないが。

 

 

僕の好きな音楽選びでした。

次は、僕の大、大好きな、世紀のエンターティナー・ミスター・”フランク・シナトラ”に挑戦します。

 

編集長・永澤 洋児