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気になるCD

心に響くCDアルバム "Tony Bennett Duets an American Classic"and"Tony Bennett Duets"  トニー・ベネット

毎日多忙を極める諸兄たちと、時に人生の粋を感じている団塊世代にぜひオススメしたい、心に響くCDを紹介したい。

 "Tony Bennett Duets an American Classic"and"Tony Bennett Duets 2"2枚のCDだ。

 2006年に発売されて評判を呼んだ "Tony Bennett Duets an American Classic"は、多くのトニー・ベネットファンやアーチスト達からの反響もすごく、2011年に"Tony Bennett Duets 2"が発売されて更に評価を高めた。
 
この2枚は、トニー・ベネットと新旧最高ボーカリスト達とのデュオで構成されていることを考えても、トニー・ベネットの偉大さを感じる。
 また2枚のアルバム作成には今年85歳を迎えたトニー・ベネットの多くの労力の跡が見られる。
また、アルバム制作にあたり、参加のボーカリスト達のレコーディングでは忙しいアーティスト達に合わせて、自ら全米各地のスタジオに出向いてレコーディングに参加したと聞いている。この模様は"Tony Bennett Duets 2"のDVDのなかに納められている。

2枚のアルバムに納められている曲は、ほとんどがスタンダード曲で占められている。その趣味のいい選曲とアレンジの素晴らしさとともに、トニーのデュオ相手との絶妙な対話は絶品。
相手に対する思いやりと優しさがにじみ出ていて、聴く人の心を揺さぶる。
特に聴き惚れてしまうのが「An American Classic」に収録されている

with Barbra Streisandとのデュオだ。

マイケル・ジャクソンが愛した"Smile"を、これほどまでに情感を込めて完璧に歌い上げているバーブラとトニーとの息はさすがだ。

Bono,Michael Buble,Elton John,Sting,Willie Nelson,新旧トップのアーティスト達との歌のバトルも見事で聴き惚れていまう。

なかでも、Lady Gagaとのデュオは圧巻。そして、マイケル・ブーブレとは、古き良きジャズの心地よいビートが楽しい。
この2枚のCDを聴きながら思うことは、古き良き時代のサウンドと今のサウンドの違いはないということを改めて感じた。最後に僕だけが知っているトニー・ペネットの小さなエピソードを紹介しよう。


以前、NHK総合テレビ「世界の音楽」という音楽番組があった。
クラシック専門番組だったが特別枠で世界のエンターティナー達を招いての番組も制作していた。

当時(正確な日時は定かではないが)この番組に、日本でコンサートをしていたトニー・ベネットが出演することが決まった。
収録当日、トニー・ベネットは、アレンジャーのクインシー・ジョーンズとスタジオに現れた。

細かな打合せ(カメラ、音響、照明など)をすませてスタジオでのリハーサルに入った。
当時NHKには数人だが、ジャズに詳しいディレクターがいた。
トニーを撮るディレクターもその中の一人だ。


フルオーケストラをバックに、トニーは自分の立ち位置などをチェックしていたが、ピアノ位置と自分の位置関係(音)に満足が得られず、ディレクターに指示した。その指摘を受け我々少ないスタッフがグランドピアノを静かにゆっくりと移動し始めた。

タキシード姿のトニーも加わり自分が指定した場所まで一緒になって運んだことを覚えている。


世界のトップスター、トニー・ベネットが自らグランドピアノ移動を手伝うとは思いもしなかったが自分のサウンドをより高める意味での行為、行動だ。
そして、リハーサルも終わり本番前彼がスタッフに言った、この一言は強烈だ。「僕が歌っている途中でストップをかけないで欲しい、曲を最後まで歌わせて」
歌を途中で止められるのをほとんどの歌手は嫌う、ステージでの一体感を大切にしているからだ。


トニー・ベネットなら、なおさらの言葉だ。そして本番収録がスタート。
魅力溢れるトニー・ベネットのステージに酔いしれたことを今でも覚えている。

誰にでも温かな対応をしてくれる人柄はいまさら言うまでもないがこの2枚のCDを聴くと、トニー・ベネットの歌唱力のすごさに再び感動してしまう、いま85歳。若さに溢れている。

これからも、好き嫌いは別として、素晴らしいエンターティナーたちを独自な切り方で紹介していきます。ご意見などを頂ければ幸せです。(永澤 洋二)